朝から ビュンビュン吹いている
冷たくて カラッカラに乾いた風が
タワシの頭を怒りのマンガみたくグシャグシャになびかせる
最高に気持ちがいい
あとはどこにも触らずこの膨れ上がったゴミ袋を鳥よけネットの中に滑り込ませたら
完璧な1日の始まりだ
7時を過ぎると空が黄色くなってきた
ウィークエンドはずっとグレーだったので久々の黄色
最高の上塗りか?
こうなるといつもの奇妙な喜びダンスがしたくなる
ドン・ド・ドン
【「最高」詰め合わセット】来たる!
あぁ、今日は1日優しいヒトでいようと思う
バルミューダよりもはやく沸騰するタワシのハートだが、本日はへそで湯を沸かそう
優しくあるために途中どこかでチョコレートを買おうかな
一段とぽっちゃりしたとして、それは優しさのためであると言い訳もできる
優しさ。
優しさ?
優しさって随分とざっくりしてるよな。
半分が優しさでできてるっつうあの薬なら薬局で手軽に買えるのだが、タワシはバファリンが効かない。
よって優しさを買えない。
タワシは全くもって優しい人間じゃない。
心ん中には、えもいわれぬグッチャグチャでドッロドロな鬼が住みついている。
わっるいことばかり考えてしまう。
なのでタワシが優しい時、それは誰かがタワシにくれた優しさそのまんま、リボンを付け直して誰かにあげているだけだ。
優しさを自家栽培することなんかできない。
誰かがプレゼントしてくれた優しさを、まずは噛み締めて味わったら、なんか知らんが今度は誰かにあげたくなる。
そして、もらった優しさにリボンをかけ直して手渡す。
それだけだ。
バケツリレーみたいなもんだ。
今朝、駅から会社に向かう途中で蛍光メッシュのチョッキを着たおじいさんがズタ袋とトングを持って歩いていた。
胸には、ポイ捨てとか?何か書いてあったが忘れてしまった。
おじいさんはトングでタバコの吸い殻を拾って歩いていた。
足腰が辛いだろうにありがとうございます、と思っていると、おじいさんの目の前で白い不織布みたいなゴミが風に揺れていた。
おじいさんはそのゴミを見ずに通り過ぎていった。
タワシはおじいさんは拾ってくれるもんだと期待していたのでズッコケた。
おじいさんはタバコの吸い殻しか拾わないのだろう。
そこにはルールがあるのかもしれないし、ないのかもしれない。
それにおじいさんはボランティアで拾ってくれているんだから、不織布を拾わないことを非難されるいわれなどどこにもないはずだ。
それなのにタワシはそのゴミを拾ってくれると期待していたもんだから「じいさん、拾わんのかい!」なんて思うのだ。
そんなタワシはどうだ。
じゃあタワシが拾たるわい、とは思わなかった。
手が汚れるのは嫌だ。
しかしまたここで。
そもそもあの不織布はおじいさんのものでもタワシのものでもないわけで、素通りしたとてどちらも文句を言われる筋合いなんてない。
じゃあ捨てたのは誰だ?
捨てた理由を知る由もない。
物事は全く切り取れない。
始まりから終わりまでを知らずにわかりやすい部分だけを切り取って他人を責めてどうするだ。
でもねぇ、気づけば誰かを責めてんだよな。
落ち着けタワシ。
湯は腹で沸かせ。
じっくり考えろ。
通勤列車から満開の桜が見えた。
散ってしまう前に、今夜は桜散歩に出るとしよう。