駅前のケーキ屋さんでソフトクリームを買うのは何十年ぶりだろうか、と思いながら店に入り「すみません。ソフトクリームをふたつ、持ち帰りでください」と伝える。
会計を済ませ、ソフトを待つ。
すると「お待たせしました〜」とソフトクリームひとつ、左手に手渡される。「え?すみません、持ち帰りなんですが」と驚くタワシに輪をかけて驚いた口調で「え?これがうちの持ち帰りなんですが」と言いながらもうひとつのソフトクリームを右手に託してくる。
受け取るタワシ。
うそやろ…もはや両手が塞がった手では携帯電話を取り出すことも出来ず、ぽ氏に緊急事態を知らせる術はなく、炎天下、渦巻きの角張った部分は秒で丸くなり右へ傾ききっており、走ることもままならず、ソフトクリームを両手に小走りでヘラヘラしたタワシを、すれ違うオッサンらは「かわいそうに…」という顔で見つめている。
うちまで半分を切る地点で既に白いかたまりはジェントルに溶けて手を通り越し、コーンの末端からポタポタと垂れはじめていた。
道路にはタワシんちへの道しるべが、着々とできている。
ポタポタのスピードはどんどん増している。
アパートの階段をのぼり、玄関のドアを蹴る。
気づかないぽ氏。
疲れ果てたソフトクリーム2匹。
床を彩るホワイトイルミネーション。
最悪である。
肘でピンポンを押し、ぽ氏の登場。
見るなりの爆笑。
事件だ事件だと叫ぶタワシ。
結局ぽ氏ソフトを皿に乗っけてタワシは階段を降り、道端でソフトにかじりつく。
美味しさなど味わえたものか。
そそくさと食べ、庭の水撒き用のホースを借り、水を撒きホウキで掃きだす。
流れ落ちる汗。
流れ星の前の夕空。
持ち帰りと食べ歩きはキッパリ分けて欲しい思い。
しかしブログのネタになるとほくそ笑む自分。
人生とはなんぞや。
わからん。
それではみなはん、また明日。
この場所で。