席を譲るって簡単なんだがムズイっつうか。
基本的には高齢者の方や身体的に立っているのが辛そうだなと思う人に譲っているつもりだ。
しかし、本当に疲れ果てた時は申し訳ないがそのまま座ったりする。
自分が誰かと一緒にいる時は、自分だけが善人面で席を譲る光景がなんか…すまない気がしたりして我慢することもある。
さらに高齢かどうかわからない人、高齢な気がするがえらいオシャンな人に対してはちょっと戸惑う。
譲ることで、その人のオシャンささえも否定してしまった気がするから。
しかししのごの言わずに考えずに譲ればいいんだろうな、と反省したりもする。
たった今も、向かいとタワシの隣りに2席ずつ席が空いていて乗り込んだサラリーマンは3人組。
そして白髪(というだけで高齢と断定してしまうのもあれだが、知らん人のことは知らんので仕方ない)の人以外の2人が結構なスピードで席についた。
おぅ。
向かいは空いてるし、タワシはオンリーだし「どうぞ。あっちに座るので」と言って席を移動したんだが、白髪の人は2人に促されたので仕方なく座る、といった感じで無言で座った。
ほらね。
今日は完全にしくじった。
やっぱりちょっと面倒臭い。
小学生の時の国語の本のあの「こんなに美しい夕焼けを見ずに」を思い出す。
たしかあのストーリーはこうだ。
小学生がバスだか電車で、入れ替わり立ち替わりやってくる老人に席を譲る。
しかし老人たちは誰ひとりお礼を言わなかった。
そしてまたやってきた老人に、小学生は最後は席を譲らなかったのだ。
膝の上で拳を握りしめて下を向いて。
きれいな夕焼けも見ずに。
やべぇ。
トレインなのに涙が滲むぜ。
世の中ってなんかさ、なんかだよね。
ただ時々ハッとするようなカッチョイイ人がいる。
1年くらい前だったか。
書いたっけか。
明らかに高齢者だし、荷物も重そうだったので、10分並んで座った席だったけれどタワシはカッチョよく、どうぞと席を立とうとしたのだが、そのおばーたんは優しい態度で、しかしキッパリと「あなたがちゃんと座りなさい」みたいな事を言ってのけたのだ。
座る意思は全くないという態度で。
それなのに降りる時にお礼を言ってくれたような気さえする。
そんなおばーたんに人生で出会えたことの幸運を噛み締めながら自分もこんなおばーたんになるぞ、と誓うタワシである。
いい出会いはあからさまにキラキラしてるもんだけじゃないぜ。
それではみなはん、また明日。
この場所で。