「デパート」という日常からほんの少しずれた場所はちゃんと涼しい。
内側から外を見るとトコトコと忙しなく歩く人、人、人。
汗を拭いながら無表情で歩いている。
そこにある改札口へ向かっている。
さっき乗っていた満員電車から解放され、また次の満員電車に乗り換える。
もう19時近い。
みんな腹ペコだ。
タワシも腹ペコだ。
デパートのエントランスをくぐり外へ出ると自分も忙しなく歩き、満員電車から満員電車へと乗り継いでいる人に戻るのだ。
なんのために人間は生きてるんだろう、なんて中二病みたいなことを思う。
でもだってなんか残酷だよな、って思ったのだ。
はたらけど はたらけど 猶わが生活 楽にならざり ぢっと手を見る
たくちゃんが言ってた。
だったらどうする、タワシング。
むむむむむ。
楽しい事もありがとうも全部口に出してしまえ。
せっかくの楽しみも感謝もただひとり、心で思っただけではすぐに記憶から消え去ってしまう。
口にしてしまえば誰かの心に引っかかる。
言った自分の心にも引っかかる。
そうやって幸せの爪痕を残し、その幸せの窪みにぶら下がり続けたる。
人生は呪文の連続である。
我思う、故に我在り
それではみなはん、また明日。
あるならこの場所で。