まんまーる

ようこ、という名前が好きだ。

オノ ヨーコ、小川洋子、佐野洋子、野際陽子、南田洋子…みなはん聡明である。

小さい頃、となりのアパートに住んでいたようこちゃんも素敵なお姉さんだった。

髪の毛が長くて茶色くて、色が白くて、白いワンピースがとても似合っていたな。

今ごろどこにいてどんな人になっているんだろう。

出会いと別れは常に繰り返される。

出会いに関して概ね人は、運命のようなものを感じているのではないだろうか。

しかし別れに関してはどうだろう。

いろんな別れがあるが、運命の別れというのはあまり感じないのではないか。

だからどうということもないのだが。

 

もしかして私は溶けたりしてないだろうか。

 

ふとそんな事を思う。

息を吐いたり汗をかいたりしたその成分は、確実に私の内から外へと移動する。

しかしそんなものは誰にも見えない。

見えない成分が床に落ちて踏んづけられて消えてなくなるのか、宙をさまよい何かに誰かにくっついて小さな毛穴から内へ入るのか。

そんなこともよくわからない。

しかし、見えないけれど確実に存在している何かが人と人とを行き来していたとしたら、もはや「私」は私だけではなくなる。

「私」と「あなた」の境界線は曖昧になって、そして次々と連鎖する。

たまたま同じ車両に乗った人、桜を見ながらすれ違った人、道を聞かれたおばあちゃん。

あなたと私の境界線が曖昧になれば、全てはひとつと言うこともできるかもしれない。

身体という固体の中をさまよう細胞のように、地球という固体をさまよう私たち。

壮大すぎるだろうか。

そうだよな。

逆へと進んでみる。

私たちの身体の中に存在する細胞も、恋をしたりケンカをしたり、思考したり。

していない、とは言い切れないんじゃないだろうか。

そうなると全てが騒がしい。

騒がしくてさわがしくて何も考えられずに、しまいにはよく分からないが許せるのかもしれない。

 

 全ては宇宙だ。

 

ようこ、と言う名前が好きから飛躍しすぎだろうよ、オイ、ぷっちゃん。

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