コレクション: Brooch

実はブローチをかわいいと思った事がありませんでした。
それがある日突然かわいく見えたんです。

絵描きなら自分で作れるんじゃないかと思いました。紙でもできるんじゃないかと。

1番大事なのはTシャツにつけても重さでダランとしないくらい軽いもの。せっかくの絵柄がきちんと見えていたほうが絶対にかわいいと思ったからです。その点で紙は優秀でした。とても軽い。
次は厚さです。紙一枚では薄すぎる。思い当たるものはダンボールしかありませんでした。ダンボールを芯にして水彩用紙で全面を覆う。こちらも出来はじゅうぶんでした。カットの異様なまでの大変さを除けば。例えば作品の中に【Sunshine】というものがあります。このような作品のカットが大変でした。厚さに対して曲線の角度が急すぎた。しかしダンボール以外に思い付くものがなく初期はダンボールを使って作製していました。半泣きです。ところがまたある日思いつきます。ダンボールとカッターの代わりにスチレンボードと電熱線を使ったらどうだろう。ビンゴでした。軽さは変わらずカットの時間が格段に短くなりました。
そうは言ってもブローチは手づくりなので、ひとつひとつの工程にとても時間がかります。
絵を描く、紙をカット、ボードに貼る、ボードを絵柄に沿ってカット、裏面にもカットした無地の紙を貼る、側面を覆うため側面の長さより少し多めにとった紙をカットしてぐるりと貼る、後ろに飛び出した部分を裏面に折り返すように貼る、プラスチックプレートをピンの大きさに合わせてカット、角をやする、裏面にはる、その上にピンを貼る、ニスを全面に塗る、艶が出るまで何度も繰り返す。
このようにしてブローチがひとつ生まれます。

私たちは、時間をかけて作ったくせにえらく未完成に見えるブローチがかわいくて仕方ありません。
親バカではありますが、こんなにイケてるブローチはないです。しかもクセになる。

「オシャレ」は、まわりがどう思おうが貫き通す「個性」ではないでしょうか。

このブローチは無地のトップスによく合いますよ。ちょっとの毒っ気がスパイスに入った愛嬌たっぷりのブローチを楽しんでください。