以前にも触れたように毎朝通勤で始発待ちをしている。
だいたい15分くらいだと思う。
と言っても、乗車駅はその電車の正式な始発終点駅ではない。
ここは途中の駅である。
ただ、1時間に1本くらい、私の乗車駅にはここを始発とする空っぽの電車が乗り込んでくるといった塩梅なのだ。
待っていると必ず1日に何人かの人が、戸惑いながら始発待ちの人間を追い越して普通の電車に乗り込む光景を目にする。
私としては
「なんだなんだ、もうずいぶん昔からこの時間に始発電車が来てるじゃんか。戸惑わないでくれ。我々待ち人を怪訝な顔で見たり、申し訳なさそうに追い越していかないでくれ。なんだか朝から悪い事をしている気分だ。」
なんて思ったりしていた。
が、
違う違う、そうじゃ、そうじゃない
のだ。
私は自分の周りで日々行き交う人々を、人間の形をした影か点くらいに考えていた。
ひとりひとりに顔があり、人生をてくてく歩いている事を取りこぼしていた。
とんでもねぇのだ。
あまりの自己中心的態度に慄いた。
この時間に始発がやってくると知る前日までは、まさか途中の駅に始発が来るなんて知らなかったし、思い返せば電車が来てるのに乗らない団体に戸惑った日もあったのだ。
それなのにそれなのに、自分の周りではいつもと同じヒトがいつもと同じ行動をしているもんだと勘違いしていたのだ。
人生はだから恐ろしく、そしておもしろい。
足るを知る。
無知の知。
おしるこ。
知るは大事なのだ。
おもしるいのだ。
でも恐しるいのだ。
我は永遠の女学生なり。