夜がきた。

真実とはまことしやか合戦のようなもので、一体全体どれが真実かなんて全然わからないのだ。

子供の頃に、知らない場所へ自転車で行くという遊びをしていた。

道を適当に曲がって曲がって迷い込もうとするけれど、なかなか知らないところに行くことはできなかった。

ある日、タワシと友人は川沿いを右に曲がったところに知らない鉄工所を見つけた。

そこにいるおじさんは、銀色の物をカンコンカンコンとやっている。

鉄工所全体はマンガに出てくるみたいな大きな船になっていた。

タワシと友人は興奮して船内を探検した。

おじさんは気づいていなかった。

天井も壁も銀色だった。

でも全体が油まみれで埃がこびりついて、とくに端っこは真っ黒だった。

汚いなぁと思いながら、カッコイイなぁとも思った。

鉄でできた階段は、コドモひとりがようやく立てるぐらいの狭いもので、手や服に油がつくのが嫌だな、と思っていた気がする。

おじさんに気づかれて慌てて逃げ帰った…のかどうかは覚えていない。

でもまたあそこへ行きたくて自転車に乗って探し回ったけど、もう見つからなかった。

そんな嘘みたいな話をある日思い出した。

これが夢だったのか現実だったのか、今となっては思い出せないのだ。

この先もずっとわからないままだ。

私が「これは真実だ」と言ってしまえばすごい話だし、夢なら大したことはない。

捉え方で真実さえも逆転してしまう。

どう捉えるかってのは真実よりも重要なのかもしれない。

 

さて、今日は歯医者に行かなくては。

口の中がどうなっているかなんて、素人のタワシにはわからない。

先生が語る全てがタワシの真実になる。

本当は虫歯なんて一本もないのかもしれないのに。

んなこたぁないわな。

 

それにしても真実って一体どこにあるんだろう。

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