朝、職場へ着くと元気よく「おはようございまーす!」だ。
おざなりではないやつだ。
今の現場が大好きなので自然とこの調子になる。
本日も元気に挨拶をして机を消毒して席につくと、前の席のKさんが歩いてきて席に着いた。
お!と思って「おはようございま〜す」と言ったら「え?」と言われた。
「さっき言いましたよ。ここに座ってる時。返事もしたんですけど…」
とボソボソといつもの調子で言われて、ワタシは「マジすか!」と笑った。
周りも笑った。
このなんでもない会話。
どれくらいぶりなんだ?
苦笑いでも愛想笑いでもなくただ笑う。
スマイル0円だ。
これで体温が0.5度は上がるのだ。
保温力も半端ない。
朝のうちに上がった優しい体温があれば飯もうまい。
こういう些細な「大事」がなんとなく、仕方なく、徐々に削られていって大抵のオトナは心を落としてしまう。
昔「21g」という映画があった。
人が死ぬと身体から21gぶん消えてしまうらしい。
これは魂の重さだろうか。
だとしたら今の大抵のオトナの魂の重さは、もはや21gさえないんじゃないか。
ワタシはおそらく落としてしまったであろう魂の欠片を少しずつかき集めて、この世から消えてなくなる時にはきっちり21gで旅立つ予定でいる。