牛乳


土曜日の朝にだけ、行くパン屋さんがある。

6時半には開いていて、ちゃんと作っている美味しいパンが手頃な値段で店頭に並ぶ。

冬は寒いので店頭のパンも冷えっ冷えだけど、

なぜか店内には陳列スペースがちゃんとあるのに入れないところも、

バットごとに値段が均一なところも、

優しくて目を合わせない人が売っているところも、

そして全てが全くお洒落じゃないところも、なんかイイ。

 

なんかイイとか言いつつ、今日はコンビニエンスストアーだとかっつって、プイッとしちゃう週もあったりする。

 

今朝は目が覚めた瞬間に気分は「パン屋さん」だった。

パジャマに寝癖で上着を着てテクテク歩く。

あれ? 出っぱってない。店頭の陳列台が出っぱってなくて店がストンとしている。

しまった。

閉まってる。

 

途端にすごーくここのパンが食べたかったのに、みたいな気持ちになる。

なんかずるいな自分、おい。

 

「逢いたくなった時に君はここにいない」

 

「なんかイイ」どころじゃない。

「好き」だったのだ。

 

自分はお客さんだ、選択権はこちらにあるんだと思っていたが、本当はそれはパン屋さんのほうにあったのだ。

 

なんとなく…なんだけど、今まで自分が思っていた事がコロッとひっくり返る世の中になってくると思う。

当たり前だと思っていた事を一度ぶっ壊して再構築しないとどんどん生き辛くなるんじゃないかな、と。

 

朝パンが買えなくてここまで暗くなるもんか?というくらい暗くなった朝だった。

 

もう忘れかけてるけど。

 

井の中の蛙、大海を知らず

 

え?使い方間違ってまふ?

 

チーン。

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