オロロン オロロン

昨日折れた歯が、尖ったナイフのように鋭く舌に当たるたびに冷や冷やしている。

そのせいで咀嚼が恐ろしく、少し痩せるかも知れないと思ったけれど、行列のできる歯医者さんは長い行列にも関わらず、一本のテレフォンで本日中に歯を滑らかに削ってくれるという。

ツイてるぜ。

 

今日は月曜日なのでトコトコと会社へ向かう。

元気におはようございますを言って席に着くと、机には【金のミルク・濃い贅沢】抹茶ラテ味とカフェラテ味というスペシャル・エディションが置いてあるではないか。

これはもうあの人しかいない。

うちにはたくさんのKさんがいて、そのうち同い年のKさんは、時々こうやってお菓子をみんなの机に置いておいてくれる男子なのだ。

前回飴をくれた時に、タワシがキングオブキャンディーと豪語する【金のミルク】を持参していたので「ではお返しにタワシが1番美味しいと思っているこちらをどうぞ。」と言って手渡したことがあった。

Kさんはそれを覚えていてくれたのだろう。

そしてどこかでスペシャルエディションを発見し、タワシに食べさせてあげようと思ってくれたのだろう。

オロロンオロロン。

なんてハートウォーミングなヒトなんだ。

しかも、その飴の下に何かがペラペラと、暖房の風に揺れながら3枚ほど鎮座している。

なんだろうか。

手に取る。

飴の袋に印刷されたバーコードが2枚と、応募要項の部分がキレイではないがキチンと切り取られて一緒に置いてあるではないか。

どうやらこのバーコード2枚をハガキに貼り付けて所定の住所に送ると、スープジャーとトートバッグのセットか、蓋付きステンレスマグのどちらかが当たるかも知れないから送ってごらん、ということらしい。

もはやハートウォーミングどころの騒ぎではない。

箪笥の奥の匂いのするお家のコタツと、ゴムで縛ったニッキ飴の袋がしまってある戸棚が心に蘇る。

オー マイ グランマ。

オロロン オロロンが止まらない。

日曜日に、タワシが喜ぶだろうと、飴の袋をハサミでチョキチョキと切り、鞄に入れておいたのだろう。

おばあちゃん…ありがとう。

おばあちゃんにとって孫はいつまでたっても孫のまま。

かわいいネコちゃんが描いてあるトートバッグやマグカップを、48才のタワシはワクワクしながら応募するのだ、と。

これはもう当てにいくとかっつう次元なんかじゃない。

送るっつう事にタワシのオロロンがこもるのである。

久々にハガキを買って帰ろう。

 

Kさんは時間ができるとダンボールで小箱を作ったり、みんなの作業台を整理したりしてくれる。

こないだもゴソゴソと手を動かしていた。

そしておもむろにタワシのパソコンのモニターに帽子のようなダンボールが乗せられた。

西陽のせいでモニターが見難かろう、とせっせと作ってくれていたのだ。

おばぁちゃん、のび太はもう大人だよ。。

邪魔なら外して、と言って被せてくれた帽子のつばはだいぶん寸足らずで、西陽を遮ることは全く出来ず、西陽の当たらない時間はつばのおかげで暗闇に包まれる。

しかしタワシはこの帽子を決して外さないと心に決めた。

おばぁちゃんがのび太のためにせっせとこしらえてくれたんだから。

世知辛い世の中で、こんなにもハートウォーミングなシーンがタワシにやってくるなんて、半年前に想像ができただろうか。

いや、できなかった。

喉は血の味がするし、鼻の下はヒリヒリするし、歯はポキンと折れてしまったけれど、それはもしかしたら今日という日をドラマテックに演出するためのプロローグだったのではないかとさえ思い始めているほどだ。

時間は途切れずずっと続くけれど、悲しいことや苦しいことが徐々に形を変えていき、気がつくととても居心地の良い場所になっていることもあるんだなぁ、としみじみしているタワシの夜である。

チーン。

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