サンブンシ

おやすみなさ〜いで目を瞑って、やっぱり目を開けて思いを巡らすこと10分弱。

唐突に腹が減る。

腹が減ったと思っていない時から腹が減るまでの余韻はム。

無し。

1秒前にスンマリしていたタワシのハートがその一寸先では血気盛んに立ち上がろうとしている。

これは誠に困る。

このままいくとタワシはマザーフォルムになりかねない。

なんてったってマイ・マザーフォルムはシャドウにすると正面を向いているのか横を向いているのか分からないほど前後左右の寸法が等しく、上から見たらまるで【キッコーマン特選丸大豆しょうゆ】である。

タワシの理想は【いいちこパーソン】なのだから。

どうしてもお腹様が地団駄を踏むのでタワシは仕方なくバームクーヘンを食す。

お腹様の越権行為に朝も夜もすすり泣いているというわけだ。

バームクーヘンを食してしまえば流石にすぐにバタンQは気まずい。

という事でエアコンの切れた地獄のような部屋でポツネンとちんまり座り、惰性でYouTubeを観るのだ。

一体これはなんなんだ?

タワシのビフィズス菌はあの日、旅に出たきり帰らんのか?

まぁいい。

それでも今日はソ.フライ.チャイナタ.

おっと?

イッソーフライデフライデーチャイナターンを略し、ポチンをつけたらいきなりセクシーか!

ホクロだ。

ホクロがついたみたいだ。

タワシはホクロにめっぽう弱いどころかホクロじゃなくてもホクロに見えちゃってセクシーだなぁ、とうっとりしちゃう人間だ。

月に惑星が近づいた日には夕方からうっとりが止まらない。

月とホクロ。

タワシのそんな性癖なぞどうでもいいだに。

それにしても雨の、その純粋な雨だけの匂いをここ、トーキョーシティーで嗅ぐことはできないんだろうか。

雨粒の、湿度の一粒一粒に人間の匂いが染み込んでいて、そのあまりの人間臭さに酔ってしまう。

やはり風がいい。

風よ吹いてくれ。

この人間どもの匂いを全て吹き飛ばし、風の匂いをくれないか。

一体今夜、タワシは何を書きたかったんだ?

もう書くことなどワンセンテンスも残っちゃいない。

ただ、ない袖を、それでも振る毎日である。

なにがしかのために。

そう自分で決めたのだから。

チーン。

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