ロングヘアー

通勤列車はラッシュである。

座席の前に立てば、ドアの前に立つよりギュウギュウ押されることもないのでできるだけ隙間を見つけて滑り込むことにしている。

しかしそこならではのゾゾゾとなる事がひとつだけ(いや、考えればもっとあるんだろうけれど)ある。

それがロングヘアー問題である。

座席の前に立てば必然的に反対側の座席の前に立つ背中合わせの誰かがいるわけで、その背中合わせの隣人がロングヘアー人間であることが多々ある。

で、そのロングヘアー人間がヘッドをぶるんぶるん振るわけだ。

首を振っているのかもしれない。

あれは一体なんなんだろうか。

その時なびいたヘアーがタワシの後頭部のヘアーにワサワサとぶつかる。

手品師がトランプをリフルシャッフルする時のように、ぶつかったヘアーの1本1本がタワシのヘアーの1本1本の間に入りこむ映像がまじまじと頭に浮かんで吐き気がするのである。

見知らぬ誰かのフケが自分のヘアーに紛れ込み、そのヘアーをかきあげたタワシの手の指の爪の隙間に入り込む。

顔を触る癖のあるタワシの顔に指先から見知らぬロングヘアー人間のフケが付着する。

鼻息で吸い込んだり、何の因果か口に侵入したりしないとは言えないわけでもう本当にそれはこの上なく気持ち悪く、怒りの後に泣きたくなる。

おかしいのはロングヘアー人間ではなくタワシということも知っている。

知っているが気持ち悪いので仕方ない。

こういう類の異常事態が、まま発生するのは生きづらいね、という報告である。

 

土曜日にグルンちゃんと話したあれもその類であろう。

コレクションしていた大量のレーザーディスクを捨ててしまって後悔している、と言うと「売らなかったの?」と言われた。

しかしタワシは私物を売ることは覚えている限り1度もない。

私物である期間中にタワシの感情が物に入り込んでいるはずなので、もしもそれらが見知らぬ誰かのところへ行ってしまえば、見知らぬその人物が物を触った時に感情の情報が伝わってしまう、と本気で思っているのだ。

ウケる、自分。

思い起こせば今は考えなくなったけれど、電車の中で暗証番号などが浮かんでしまったらマジでヤバイわけである。

もしもこの車両に人の思考を読み取れて、かつ悪い奴がいた場合、タワシは破産してしまう。

他のことを考えて暗証番号をかき消さねばいけないけれど、かき消そうと思えば思うほど数字が大きい石みたいになって落ちてくる。

人が多いところは大変なわけである。

久々にそのことを思い出したということは楽になったのか、それとも大事なことを忘れてしまったのか。

メランコリーな日々だったがここまでよくひょうきんに生きてきた。

タワシは何気に強いのかもしれない。

明日もケーキを食べても良いと言いたいが、期せずして先週血液検査をさせられたので結果が怖い。

絶対に痩せなされ、と言われるから。

ふぅう。

メランコリーな夜のとばりのタワシである。

 

それではみなはん、また明日。

この場所で。

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