独り言名人

無口揃いの我が職場は純度75%で、良質な独り言が毎日飛び交っている。

正確には独り言なので交わってはおらず、投げられた言霊がボトンと落ちたのを見計らってタワシが覗きに行く、という構図だ。

独り言といえば普通なら舌打ちや文句と相場が決まっているし、実際タワシの独り言はそれに近い。

しかし我が無口な人々のそれは濁りのないものばかりで、パーソナルコンピューターの向こうにいるなにがしかに喋りかけているというスタイルなのだ。

そしてK氏は万年「ん〜っ。ん〜っ。」と唸っていて、まるで今僕はとても悩んでいます、ということをユニークにアピールしているかのようだ。

いつのまにかタワシもパーソナルコンピューターに向かって唸る癖がついてしまった。

そうタワシもユニークにアピールしたくなってしまったのだ。

それに加えてK氏は時々いかりやさんよろしく「ダメだ、こりゃ。」と独りごちるのだが、タワシがそれに反応するようにチラリと頭を動かすともう一度「ダメだ、こりゃ。」と独りごちてみるという徹底ぶりだ。

明らかに笑かしにかかっているのである。

これはもはや独り言ではない。

エンタメだ。

独り言の概念を根底から覆されたタワシはいつの日か独り言名人になりたいと夢見るようになっていた。

独り言たるものは、「今、自分は機嫌が悪いですよ。だから気づかってくださいね」と周りにアピールするものであり、直接言わずとも人を不快にさせる悪の権化だと思っていたタワシには青天の霹靂だったわけで。

隙あらば何人かの人間をぷぷぷと笑かしたいタワシにとっては絶好の武器になるではないか。

侮るなかれK氏。

その手技、頂戴したいと思う。

しかしこれが結構ムズイ。

思わず口走るそれはだいたい苛立ち紛れの捨て台詞になるんだから。

タワシは仕事中に何を習得しようとしているのか。

しかしこの技、絶対に欲しい。

ということで是非みなはんも、独り言で隣人を笑かしてみてはいかがかな。

 

それではみなはん、また明日。

この場所で。

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1件のコメント

あたしの場合、よく飛び出してしまうのは『あっ……』
でもコレ周りの人を慌てさせ、迷惑極まりないから何としても止めたいです。

グルン

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