冬だからユーミンに逢いたい。

高架下から、行ってしまったトレインを見上げる。

夜の空に黄色い蛍光ペンが走っていった。

ガラガラの窓の中はきっと寝っ転がれただろう。

できたならあれに乗って帰ってしまいたかった。

だがしかしタワシはダイエットを兼ねて仕事をしているので、そうそう文句も言えないのだ。

土日だけが行ったり来たりするような生活はタワシをダメにするに決まっているし。

はやく電車に乗りたいからコンビニエンスストアーに寄るのはよそう、と思えるんだし。

人生はいいことも悪いこともごちゃ混ぜだ。

くっそぉ、と苦虫を噛んだ帰り道に石井ゆかりが「この時期のあなたはもしかしたら、今まで思いつきもしなかったやり方で、遠い記憶のカケラを集めたような懐かしい友から、大切にとっておいたんだ、と密かなコレクションを受け取る、みたいな事が起こるのかもしれません。」なんつって言われたりして、なんなのかはよくわからんが、きっと良いことが起きるんだな、と、呆気なく激おこプンプン丸は沈没していくんだし。

考えてみれば何かが思い通りにいくことなんてないのだ。

思い通りにいかない人生で、時々好きな人に想いが伝わったり、カレーが食べたいなぁと思いながら家路に着くとカレーライスだったりして嬉しくなるのだ。

はやく電車に乗りたくて我慢したカプリコに後ろ髪を引かれ、家に着いたらまおさんから六花亭のお菓子の詰め合わせが届いていて、腹を空かせておいて良かったし、天井に頭がぶつかるくらい飛び跳ねた。

もうぐちゃぐちゃだ。

ハロウィンは何十年経っても心に馴染みはしないが、秋の街をオレンジ色に染めるのは悪くないし

 

コーヒーの自販機の"あったかい"押すたび

心に火は灯らないがほっとカルピスには火が灯る

 

それでいいじゃないかそれがいいじゃないか。

みんなで鍋をつつくように集まって、やいのやいの言って笑うのだ。

タワシは今日何を言っているのか。

わからんがいいじゃないかいいじゃないか。

大晦日まであと89日。

あとひと踏ん張りだ。

 

それではみなはん、やいのやいのでまた明日。

この場所で。

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