誰かを幸せにしたい、とは思わない。
タワシはタワシの幸せだけをひたすら追い求め、猪突猛進している。
だってまだまだ欲しいものはたくさんあるし、まだまだ全然足りてないのだ。
よそ見をしている余裕はない。
だがふと振り返れば、途方に暮れた人を放っておけないタイプでもある。
助けてくれ、と言われれば助けるのはちょっと…無理。
と冷めた事を言うくせに。
語弊を恐れずに言うならば、タワシは甘ったれが苦手だ。
その甘えた視線と口もとからは、よくわからんが絶対に関わってはいけない茶色いエネルギーみたいなもんが放たれている。
甘えイコール習慣andエンドレス。
付き合い切る覚悟などない。
だから最初から関わらないようにしている。
しかし途方に暮れた人は違う。
誰かに助けてもらおうと企んではいない。
そういう人の目もわかる。
となると今度は放っておけない気持ちが湧き上がる。
できる範囲で放ってはおけない。
不思議なもんだ。
サンデー。
道を歩いていると、おばぁちゃんがここからは突拍子もなく遠い小学校の名前を呼び、そこはこの先か、と尋ねてきた。
真逆だし、遠過ぎる。
おばぁちゃんは川沿いを、魚を探しながら散歩していたと言った。
全然魚がいないからどんどん来ちゃって、気づいたら見知らぬ景色になっていた、と。
おばぁちゃん…度が過ぎる。
しかもいつ川から離れたのか。
ここはただの道である。
ひとまず道順を伝えると「そうですか、ありがとう。」と涼しげだ。
いや絶対辿り着けないだろ!と思い「わかった?」と聞くと「わからないけどまた人に聞く」と淡々と仰る。
この感じ。
放っておけない目。
おばぁたん。。
タワシが送り届けたる!
おばぁたんの歩幅は小さく、ノロノロ運転だった。
歩けなくなると大変だからこうして散歩に出かけるのだ、と言っていた。
もう97歳だというので驚くと、間違えた、87歳だと言い直した。
サバの読み方がプロい。
小さな声でヨイショ、ヨイショと言いながら歩いてた。
らぶい。
無事に送り届けると「お名前は?」と聞かれたので伝えたが、何度言っても「トツカさん?」と言うのでタワシはトツカさんではないがトツカさんになりすました。
手を振って分かれたがいつまでもこちらを向いているので照れ臭かった。
タワシは満足だった。
そういえば昔、大嫌いな先生が言っていた。
「いい事をしたな、と思った瞬間にもう恩返しを受け取っているのだ。」と。
大嫌いだったが膝を打つ答えである。
おばぁたん、タワシはとても気持ちがよかったので、どうか忘れちまってください。
恩返しは完了です。
眠い。
7行目からずっと眠い。
それではみなはん、また明日。
この場所で。
2件のコメント
プロい らぶい グッと来たw
プロい らぶい グッと来たw