レンタル醤油、リトルソイ

それにしてもあれだな。

1日っつうのは楽しくなくても足早に過ぎ去るもんだな。

午後から休みを取って銀行やら病院やらに行ったらもう夕暮れじゃないか。

あと45分もすればお疲れ様っしたー、なんつって帰る時間じゃないか。

休みに休んでないので休みじゃなくて用事だよ。

必須なんだから有休だなんて言わないでおくれよ。

「オッとしまった。醤油がねぇやい。」

「そんじゃあお隣さんに借りてきな。」

つまり大した事じゃないが、のっぴきならない用事ってのはそういう事だ。

そしてそんな時、人は助け合っていた。

オフィスで言う「すんやせん。これ、やらなきゃならんのですが銀行開いてる時間に銀行に行く時間ないっす。ちょっとひとっ走り銀行の手続き済ませてきてもいっすか。」みたい事はお隣さんの醤油でのっぴきならない用事なのだ。

しかし今は醤油が足りなけりゃ舌打ちをしてからコンビニエンスへ行き小さな醤油を買ってくる。

コンビニエンスのリトルソイソースは有休と同じだ。

なんだ、なんの話だ。

平日昼時の銀行には列が出来ていた。

並んでいると、事前に聞き込み調査をして受付への動線をスムーズにしてくれる任務のおばたんが来てくれた。

タワシは3つ、ここで完了したい手続きがあった。

そこでひとつずつ、何をしに来たのかということを簡潔に述べた。

述べたつもりなのだがおばたんはタワシの宣言のひとつひとつをいちいち大きな声でゆっくり繰り返し「?」みたいな語尾で見つめてくる。

え、タワシの言ってる事はあなたの胸には突き刺さりませぬか。

失恋なんですか。

タワシもなぜか聞き返す。

2人して質問責めか、おい。

それでもおばたんたちのチームワークは素晴らしく、次から次へといろんなおばたんにバトンが渡され、なんとか手続きは終了。

おばたんよ、ありがとう。

タワシもお疲れちゃん。

明日も元気にまいりましょう。

 

それではみなはん、また明日。

この場所で。

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