哀愁レストラン

Tシャツと短パンで窓を開けて寝たらなんか喉がザカザカするので龍角散をリュックに入れて通勤する。

昔から喉が弱く、ムムムと思えばすぐに龍角散を山盛りひとさじ口に入れることにしている。

周りからはおじいちゃんの匂いがすると言われても、この魔法の粉は手放せない。

オシャンな龍角散がいろいろ出ているのは知っているし、それらはサブとして持ち歩くけれどやはりこの銀のペラペラの筒に入った不味い粉に勝るものはないのだ。

昔から、異様に愛着を感じて手放せないものが時々ある。

ぬいぐるみとしては1メートルほどあったので巨大だが、パンダとしては小さいということでコパンダと名付けてコドモの頃からいつも一緒だったペチャンコのぬいぐるみがあった。

アラレを食べさせて取れなくなったり、悲しい時に話しかけたりしていたが、大人になったら強迫性障害の影響でどうしても触れなくなってしまった。

そんな時に1年ほどアブロードをして、帰国するとコパンダはいなくなっていた。

マザーが捨てたのだ。

タワシに何も言わずに。

すごい剣幕でマザーを責めると「だってアンタずっとほっぽらかしてたじゃないの」と言われた。

わかっている。

タワシはコパンダを触りたかったけどどうしても触りたくなかったのだ。

自分の部屋にも置けなかったのだ。

だからマザーは捨てたのだ。

とうに二十歳を超えていたがタワシは1日中泣いた。

その異様な泣きっぷりに弟が何も言えずに黙っていたくらいだった。

そしてタワシはコパンダに謝罪の手紙を書いた。

送る宛はなかったが。

そういうちょっと気持ち悪いことをするタワシは保育園で使っていたタオルケットを今でも使っている。

全方向ほつれて穴も開いているがご自慢のタオルケットで、ぽ氏に自慢をしたら「もうぬいぐるみかなにかにリメイクしなよ」と言われて笑った。

「思い出をリメイク」は思い出の花道のような気もする。

しかし切り落とされた部分を想うと泣きそうになるのでやはりこれはタワシの棺桶に入れてもらおう。

その日までボロボロになっても使うと決める。

 

それではみなはん、また明日。

この場所で。

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