スープの季節

腹が減っては戦はできぬというが、腹が減ったら何にもできぬ。

手がブルブル震えている。

移動した先のオフィスに弁当やお菓子の自販機があることが嬉しくて、どれ、ひとつドーナツでも買ってみようかね、なんてやったらすっかり味をしめちゃって、もはや午前中は食後のスイーツを美味しく食べるため、腹を空かせるために働くみたいな感じになっている。

朝から晩まであくせく働いているのだからご褒美にスイーツを毎日食べるくらい神様に許してほしい。

神様に許して欲しいというのは「食べてもいいよ」ではない。

「食べても太らないようにしたる」って言って欲しいってこと。

そういうこと。

それにしても食べ過ぎなんて事はないはずなのにぶくぶくと真珠のようにまるっと太るのはYouTubeで怪談ばかり観ているからなんだろうか、と心配になり一時怪談断ちをしたけれど、どうしても我慢ができなくなって今じゃ登録は殆ど怪談かオカルトチャンネルである。

オカルト好きは子供の頃から変わらないがガッツリ怪談に目覚めたのはここ何年かである。

映像もセットも驚かしもなく、話ひとつで客人を震え上がらせる話術に感動する。

怪談を聴き始めると本当に上手い人はわかるのだ。

職人芸だと思う。

 

さて、人混みの中、家路を急いでいると母と娘が仲良く歩いている。

娘は激混みの歩道で「歩けないよぉ」と言う。

母は「いいえ。ちゃんと歩く場所はあります。」と言う。

たしかにその通りで思わず吹いた。

どんな母娘だろうと振り返ると2人とも笑っていた。

なんだよ、この幸せな気持ち。

なんだろう。

慮る(おもんぱかる)という言葉があるが、思ってもいないのに、ただその瞬間が気まずいからって慮ることの無意味さを強く感じる。

言葉に感情がこもってなけりゃどんなに優しい言葉もナイフになるのだ。

そして逆も然りなのだ。

やはり心を育てるって大事だな、と思った五月雨式で失礼しますのタワシの徒然である。

 

それではみなはん、また明日。

この場所で。

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