今朝も早いうちに家を出る。
なんだか正統派人間みたいに思われるかもしれないが本当のところはそんなことではない。
むしろ気の小さなことなのだ。
同じアパートに住む隣人は子供の頃からタワシを知っているおじたんとおばたんで、タワシが毎朝何時に家を出て会社に行っているかなんてバレバレなのである。
だから仕事が続かないタワシが仕事を辞める度に「おい、仕事どうした」と言われ「辞めちった」と戯けてみせれば「お母さんとお父さんに心配かけるなよ」と嘆くのだ。
タワちゃんはバツが悪いわけだ。
そりゃあ続けられる人間だったならよかったけれど、おじたん、タワシは単なる自分のせいか、精神病のせいか、それ以外のせいかわからんけどそれができないのだよ。
と言いたいが愛想笑いで誤魔化す。
人の目ってのはどうしてこうも気になるんだろうか。
ダメ人間って思われたくない、それだけなんだろうか。
別に友だちでもなければ親戚でもない。
なんなら近所の人に「タワシがまぁた会社辞めたんだってさ。」と言われたとしてもおじたんおばたんのご近所さんとタワシは面識すらないのだから関係ない。
ではなぜ、こんなにも気にするのか。
これ、多分正解だと思うんだけれど、自分で自分がダメ人間だと認める瞬間こそが屈辱的で、だからそうならざるを得ない時を避けているのである。
他人に何か言われた時に「これはこうでこうで〜。」と言えないことがわかっているから、ヘラヘラと、自分がダメ人間だと自ら言ってしまうから避けたいのだ。
そう考えると自分で自分を傷つけるようなことのダメージは恐らくとんでもなく大きい。
だからタワシは自分に優しく生きていく。
それでいいと決めたから。
優しくあるために明日も早起きだ。
ヨスッ。
それではみなはん、また明日。
この場所で。