何も知らないくせに勝手に可哀想に思って落ち込むことがある。
目の前に立っている部活帰りらしい団体のひとりが空の弁当箱がたくさん入ったビニール袋をふたつ持っている。
さらに一言も喋らない。
唯一携帯をいじっていたのがタワシの心をホッとさせたが、気持ちが落ち込んでしまう。
当番なのかもしれないし、無口なだけなのかもしれないし、後輩なのかもしれないけれどとにかくできるだけこういう光景を見たくないのだ。
どうしたらいいかわからなくなるし、どうしようもできないし、どうにかする勇気もないタワシなのだ。
これは優しさなんかじゃない。
今タワシにできることは、彼女に「座る?」と言うことくらいだった。
大袈裟に彼女の大荷物を見て、それから「座る?」と言ってみた。
彼女はすぐに笑顔になって「大丈夫です」と言った。
笑顔になってくれてちょっとだけホッとした。
弱虫だが、タワシはこういう場面に遭遇したくない。
優しい世界にな〜れ。と願う週の真ん中水曜日の夏の夜のタワティーヌは元気である。
それではみなはん、また明日。
この場所で。