「次は」と「まもなく」の繰り返しの果てでタワシは家路につく。

人生初のフルフレックスで、なんだかあんましよくわかっていなかったが、いつも早めに出勤しているので今日はちょっと早く上がってみた。

電車のタイミングもあるのでアレだったが、全力ダッシュで電車に飛び乗った。

いつもより30分早いだけなのに、窓からの景色はまだ空が白くて山がくっきりと見えた。

 

そこにある山も家もいつもと変わらないのに、空が明るいってだけで見えるもの全てが違ってくるのは不思議だ。

人間が見ているものなんて所詮はそんなものなんだろう。

あの人は変わったとか、こんな景色見たことないとか、なんならアイツはあぁ言ったこう言ったみたいなことももしかすると、偉大なる見えない何かの力によってころりと変わってしまうんじゃないだろうか。

 

さっきまでお腹も空いてなかったし、帰ったらほんのちょっとだけご飯を食べて眠るつもりだったのに、駅まで走ってしまったらお腹いっぱいのご飯が食べたくなってしまった。

参ったね。

 

あ、夕焼けだ。

きれいだね。

少しでも早く帰れるのは嬉しいけれどもう駅まで走るのはやめよう。

太るから。

 

そうだ。

先週金曜日、会社にアメリカのお土産がたくさん置いてあってタワシは1番甘そうなピンク色の何かが乗った柔らかいクッキーを、ちゃんとお礼を言っていただいた。

「甘いなぁ、すっごく。」と思いながら食べた。

それが今日も最後の1枚残っていて、タワシはなんだかもう一度あの顔が歪むほどの甘さを味わいたくなっちゃってパクリと食べた。

するとアメリカ帰りのその人にばっちし見つかっちゃって「あ〜、タワシさんおかわりですね。」と言われて恥ずかしかった。

照れ隠しに「これ、激甘で激ウマですね。」と言った。

どうやらフロスティングクッキーと言うらしい。

「日本では見たことがないので見つけたら教えてください。自分はもう作ろうと思ってます。」と言っていた。

大きな体の男の人が。

そんならタワシも作ろうかと思った。

この人も顔が歪むくらい甘いものが好きなんだな。

 

あ、外が真っ暗になっている。

 

それではみなはん、また明日。

この場所で。

 

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