トーマスに乗ってすぐ、携帯電話をポッケから取り出すと電池残量は既に26%だった。
「あぁ、またやっちまった」
と思ったが、鞄には本が入っている。
しかも明日は読書会だ。
課題図書を読まねば読まねばと思いながら、やると決めた事が山積みで全然手を付けられずにいたのだ。
そうだ、今こそが読む時だ。
今回はUさんの選書で
『東京藝大で教わる西洋美術の見かた』佐藤直樹 著
だ。
初っ端が''ボーイの美しい裸体像"というワタシの中であまりよくわからない裸体タイプの芸術美だったので、そう、よく街で見かける裸体像の良さがイマイチ、というか全くわからないワタシにはとっつきが悪かった。
そしてパタンと本を閉じたまま図書館の返却期限がきてしまったのだった。
今回はRe:チャレンジというわけだ。
どちらにしろ明日がリミットなので深くは読めないなぁ、と思ったら逆にぐんぐん読めてひっくり返った。
肩の力を抜くとか諦めるってのは、時としてこういう魔法を見せてくれるんだよなぁ。
まだ数十ページしか読んでいないくせに言うのもあれだが「偽装された象徴主義」という戦法が誠におもしろい。
ザックリ言うと、白い百合の花やタオル、やかんは純潔を、書物は叡智を表しているとか、蝋燭はあらゆるものを見渡す神の知恵の象徴であるといった、いわゆる「隠れキャラ」のようなものが絵画の中には隠されているらしいのだ。
手品大好き人間のワタシの心はこういう事にめっぽう弱い。
楽しくてたまらん。
ぽとり氏いわく、寓意とも言うらしい。
この数行をおもしろいと思った方はぜひ、ヤン・ファン・エイクの「アルノルフィーニ夫妻の肖像」をググっていただきたい。
26%のワタシには、朝も昼も頭をかきながらブログを書く度胸はなかったので、今ソファーでぐでっとしながら書いている。
明日は読書会。
楽しみだ。